脳ネットワーク状態からストレス耐性を予測

脳科学の分野、特に人の研究では、異なる脳領域同士(例えば前頭葉後頭葉)の活動の関係性から個人の病気や性格、様々な能力を予測する研究が盛んに行われています。特に、異なる脳領域の活動の相関を指して機能的結合(Functional Connectivity)と呼ぶことが多いです。

様々な個人特性との相関が報告されている一方で、複数の脳領域を同時に取得するのが難しい動物実験ではあまりそういったことが検証されてきませんでした。そのため、人で行われている研究が本当に意味のある脳活動を捉えているのか怪しむ声も多くあります。具体的には、単に体の動きを捉えているだけではないか、など。実際、そのような脳活動に由来しない信号を推定し取り除く技術に関する論文が毎年のようにたくさん出ているのが現状です。

Cell誌に載った下の研究では、活動中の動物の複数脳領域で生じている神経活動を高い精度で計測し、それらの機能的結合を計算しました。その結果、ストレスを与えた場合に鬱っぽくなるかどうかを、その機能的結合から予測できたと報告しています。人では似たような研究は大量にあるのですが、きちんと動物で検証したのは初めてなんでしょうか。
http://www.cell.com/cell/abstract/S0092-8674(18)30156-9

サンプル数が各群で約10匹と非常に少ないのが気になりますが、それでも人で確かめられてきたことを動物で、それもより高精度な神経活動計測を用いて検証したことは大きな意義があると思います。手法についても、著者らはFunctional Connectivityではなく"Electome Factor"と呼んでおり、実際、人の研究で使われているような単純な指標ではなく、時間経過ととも状態が遷移することも考慮できる手法を用いて計算しています。