脳は学習の際に決められたリソースを配分している?

スポーツから座学まで、習得した課題に対して何かしらの変更が加わり、柔軟な対応を迫られることはよくあります(再学習)。そのような時、脳はどうやって対応しているのでしょうか。

まず準備として、先行研究から、一見高次元な脳活動(無数にあるニューロンの組み合わせ)は実は低次元多様体上に閉じ込められていることがわかっています(Neural constraints on learning | Nature)。

では再学習の際、脳活動は低次元多様体上でどのように変化するのか?以下のNature Neuroscience誌の研究はそれを探っています。答えを言うと、学習前から脳活動自体は変化せず、「脳活動と行動との対応づけ」が変化するというもの。

www.nature.com

これは(著者ら曰く)驚くべき事実。なぜなら、もし脳が効率的に再学習するのであれば、脳活動を低次元多様体上で回転させたり、スケールを変化させる、つまり活動パターン自体を変化させるのが最適です。

しかし実験から明らかになった脳の実態は、低次元多様体上の活動パターンは保持したまま、各パターンと行動との対応づけを変える形で再学習に対応していました。

これはある種、脳がこれまでの状態を保存したまま新しい要求に無理やり対応しているようなもので、再学習の成果最大化という点ではむしろ非効率的です。つまり、学習された低次元多様体が、再学習の際の制約として効いてくる。(2014年のnature論文との違いが若干わかりにくいですが、既存の学習させた低次元多様体の軸上で直交するような再学習課題をセットしているのがポイントです。)

年齢を重ねると色々思考の柔軟性が失われてきますが、それももしかしたら脳のリソース再配分が間に合わなくなってるから、というのもあるかもしれません。