聴覚野とよく似たニューラルネットワーク

以下の記事で、ニューラルネットワークの解析方法それ自体が確立していないと書きました。

前頭葉を模したニューラルネットワーク - tkg日記

実際それは事実なのですが、最近よくやられている手法としては、ニューラルネットワークの各層から実際の脳活動を予測してみる、というアプローチがあります。先日Neuron誌に発表された以下の論文は聴覚野の脳活動を、音声で訓練されたニューラルネットワークから予測してみたという研究。

https://www.cell.com/neuron/abstract/S0896-6273(18)30250-2

日本でも京大・ATRの神谷研究室がこういう研究をやっていて、以下の論文は視覚野と画像で訓練されたニューラルネットワークの対応を見た研究。

https://www.nature.com/articles/ncomms15037

繰り返しになりますが、「そもそもニューラルネットワークは脳を模したものだろうに、何を言っているのか」という感じになるかもしれません。ただ、実際にはニューラルネットワークが脳と似ているかは殆どわかっていません。なので、ニューラルネットワークが本当に人の脳と実際に似た性質を持つというだけで、まずワクワクします。

その上で、上記のような研究は人間の脳の理解にも繋がります。これは、ニューラルネットワークはその内部構造やインプット・アウトプットが完全に把握可能な人工物だからです。もちろん人工的なニューラルネットワークも理解不可能な点は多いですが、実際の脳はそれ以上に遥かに複雑で計測手段も限られています。そこで、ニューラルネットワークに脳活動を解釈・翻訳してもらうことで、複雑怪奇な人間の脳活動を少しでも解釈可能な形に落とし込む。こうした研究が目指しているのはそういう方向性なのかなと思ってます。