人工ニューラルネットワーク(特にRNN)を脳のモデルにする時の注意

人工ニューラルネットワークと実際の脳が似ているかどうかは全く自明でなく、その問題自体を絶賛研究中、というのは何回か書いています。

「似ている」という研究も確かに最近たくさん出ていますが、逆に考えるとそれだけこれまで似ていないと思われていたからで、実際まだまだよくわかっていないことだらけです。畳み込みニューラルネットワーク(CNN)なんかは構造・表現系や機能が比較的人間と似ているとされています。しかし、人間を上回る画像認識精度を持つCNNでさえ、人間がとても見間違えないような画像を見間違えることがよく知られています。もし人工ニューラルネットワークの研究成果を神経科学につなげていきたいのであれば、このような反論に答えていくことも重要です。

最近はCNNだけでなく再帰ニューラルネットワーク(RNN)と人の行動・脳との類似を探る研究も盛んにされており、以下の論文はそういった研究における注意を実験とともにまとめています。
www.biorxiv.org
活動の比較と行動の比較それぞれで注意点を述べていますが、それぞれ主張はわかりやすいです。まず、活動を比べる時は、単一ニューロンレベルでの類似点を調べるだけでなく、集団レベルでの類似も確かめる必要があるとのこと。次に行動を比べる時は、全く異なる二つのアーキテクチャが同じ行動を生じさせる場合があるので、行動だけが似ていてもダメとのこと。要するに行動・活動の両方で似ていることが重要で、さらにマクロ・ミクロレベルでニューロン活動の類似度を見ていく必要がありますよ、という主張でした。

当たり前の主張のようですけど、実際都合のいい部分だけを取り出して脳のモデルだって主張する論文はいくらでも作れるので、こういう実験は大事ですね。