研究

ASMR動画からのSelf supervised learningで音源位置特定&アップミキシング(CVPR2020)

息抜き(?)に今年のCVPRのペーパーリストを眺めていたら、ASMR動画で面白いことをしている論文がありました。 Telling Left from Right: Learning Spatial Correspondence of Sight and Sound入力はYouTubeから大量に落としてきたASMR動画の画像と音声(ス…

プロ棋士の脳

時勢柄、気を抜くと無限にAbema TVを眺めてしまう日々です。将棋を最後に打ったのはおそらく小学生の頃ですが、棋士が好きでよくインタビューや実況解説を見ています(つまり観る将)。 さて、将棋の棋士に焦点を当てた自然科学の研究はどれぐらいあるのか。…

深層学習を認知神経科学にどう使うか問題

別にどう使っても使わなくてもいいしそれは研究上重要な問題ではないのですが(いきなりタイトルの否定から入る)、一方で新しいもの好きとしてはこういう話を追うのは楽しいものです。研究者には新しい物好きが多いので、認知神経科学のための深層学習(あ…

オードリー・タンと天才と意識

最近、研究と関係ないエッセイ的な記事ばかり書いていますが、明らかにリアルでのコミュニケーション量が激減しているのが原因な気がします。本当はもっとカッチリしたフォーマットで、面白い論文やらを紹介した方がいいとは思うのですが。 *** 大学の警…

帰国とクリエイティブと美しさ

ゴーストタウンと化したオックスフォードから、ほぼ無人のヒースロー空港へと行き、CAさんと乗客がほぼ同数の飛行機に搭乗。そこから数週間の隔離を経て、数日前からようやく新居でテレワーク生活をはじめました。大学に行ける可能性も出てきたので、結局本…

DeepMindの乳がん画像判定AI(Nature, 2020)

新年早々、DeepMindから乳がん画像判定AIの研究がNatureに発表されました。 www.nature.com わかりやすい概要は、以下の日本語ニュースサイトで。要するに、乳がん診断(スクリーニング)に使われたX線画像数万枚でAIを訓練したら、人を上回る精度で診断でき…

生得的・後天的な機能とReservoir computing

一つ前の記事に続いて遺伝に関係する内容です。人間の機能のうち何が遺伝子に組み込まれていて、何が学習により後天的に獲得されるものなのでしょうか。単純な物体を認識機能だけでなく、人の気持ちを読むといった高度な機能、あるいは悲しくて涙したり嬉し…

ゲノム編集とバイオハッカーと深層学習

英語の勉強がてらにNetflixの海外ドキュメンタリーを最近よく見るんですが、ゲノム編集に関するこのドキュメンタリーは勉強になりました。 www.netflix.com科学の話題としては、深層学習に負けず劣らずゲノム編集も盛り上がっている感じがあります。盛り上が…

自然に多く触れることは精神疾患のリスクを減らす?

あっという間に年末も近づき、数週間後には日本に一時帰国です。東京や京都・大阪で過ごす予定ですが、毎回東京に行くと思うのが圧倒的な人の多さと建物の多さ。ロンドンも中々ですが、東京都心には敵いません。Neural correlates of individual differences…

良い音楽の秘密

この前ランチで同僚のイギリス人から 「Haruki Murakamiの小説には3ページに一度料理のシーンが出てくるがあれは何なんだ」 と聞かれました。村上春樹の読者にとっては彼の小説の主人公が定期的にパスタを作るのは自然なことであり、逆にイギリス風の冷凍食…

記憶をうまく忘れるようにする

最近Scienceに掲載された名古屋大の研究と、別のグループからCellに掲載された研究を読みました。それぞれレム睡眠とノンレム睡眠における記憶の忘却に関する研究。 REM sleep–active MCH neurons are involved in forgetting hippocampus-dependent memorie…

ドイツで計算論的認知神経科学の学会に参加してきました。

今月ベルリンで、認知科学と人工知能と神経科学の3分野の研究者を対象とした国際会議であるCognitive Computational Neuroscience 2019が開催されました。僕も学生時代の仕事がポスターで採択されたので発表しております。 ccneuro.org認知神経科学の研究が…

脳の理解と理論と仮説

以前に自分も記事を書いた論文について解説している記事が界隈で話題になっていました。プロの編集者と研究者の共同の記事で、とてもわかりやすく元論文について説明してくれています。自分でも改めて元論文を読んでみたのですが、自分が以前に読んだ時に勘…

「自由エネルギー原理は脳について何を教えてくれるのか?」

脳の統一理論?認知神経科学界隈でよく知られている理論の一つに、英国UCLのKarl Fristonが提唱している「自由エネルギー原理」というものがあります。ネットで検索すると日本語でも英語でも膨大な説明資料が出てくるわけですが、たとえば以下のようなスライ…

オックスフォードの計算論的神経科学系Podcast事情と自分の好み

オックスフォードの計算論的神経科学コミュニティで話題になるpodcast僕はこれまで神経科学や機械学習のPodcastはあまり聴いてこなかったのですが、そもそも日本語コンテンツが少ないというのもあります。ただ、英語だと面白いコンテンツがいくつかあるよう…

操作変数法と強化学習と経済学理論

久しぶりに経済関連の本でも読むかと思って手に取った本。「イノベーターのジレンマ」の経済学的解明作者: 伊神満出版社/メーカー: 日経BP社発売日: 2018/05/24メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る著者の研究感についての内容が多く少し期待…

終末期医療とScienceと落合・古市対談

bunshun.jp上の記事を発端に終末期医療にかかるコストが話題になっていましたが、これを読んで自分は、ちょうど昨年の中旬に以下のような論文がScienceに出版されていたのを思い出しました。science.sciencemag.orgこの論文では冒頭で、まさに落合氏や古市氏…

情報の抽象化とOFC

現実世界の情報の次元は基本的に無限大で、細かく見ればいくらでも細かく見れます。そんな状態で処理するのは人間どころか機械でも無理なので、人間も機械も、何かしらの情報の取捨削減を日常的に行っています。そうした情報の取捨削減方法には色々あり、も…

現代的な脳解析をどう勉強するか

ここ数年、脳画像業界ではデータ公開やコード共有が大きく進みました。これにはインフラの整備や数々の巨大予算がついたプロジェクト、など様々な要因が寄与していますが、データ共有が重要であるという意識の共有やデータサイエンスの大流行も大きな要因か…

脳活動エンコーディングとTikhonov回帰とリッジ回帰

最近読んだ論文の中で一番面白かったです。www.biorxiv.org

機械学習で77の回帰モデルを83のデータセットに適用して性能を比較

「モデルの種類多すぎてなに使えばいいのかわからない」問題は機械学習応用であるあるの問題だと思います。 よくある方針は ・どんなデータセットにも万能なモデルは存在しない ・線形、非線形、スパース、ニューラル、アンサンブル、、、などの異なる特徴を…

統計学と機械学習の違い?なにを勉強すればいい?

「人工知能と機械学習と統計学とデータサイエンスは何が違うのか」 みたいな疑問をよく聞きます。統計のモデルと機械学習のモデル、どう使い分ければよいのか - Qiitaそういう疑問に答えようとする上のQiitaの記事は、個人的には相当にモヤモヤするものの、…

百を超える選択肢に直面した際の人間の戦略

Neural Processesの記事でも書きましたが、人が未知の環境に置かれた際、どうやって環境を効率的かつ正確に把握しているかは認知科学だけではなく人工知能の問題としても重要な問題です。この論文では、100以上の選択肢からどうやって人間が正解(最も価値が…

脳の感受性が高い人ほど見慣れない出来事に柔軟に対応できる?

オックスフォードの研究室で毎週やっている論文紹介が丁度自分のターンだったので、この論文を紹介しました。英語で発表するのはいつまで経っても緊張します…。 www.nature.com要約はいつもわかりやすい解説を日本語で掲載してくださっている理研の公式プレ…

Latent Factor Analysis via Dynamical Systems (LFADS)をchainerで実装した。

やったことGoogle BrainのDavid Sussilloらが先日Nature Methodsに出版したLFADSをchainerで実装しました。 GitHub - yu-takagi/chainer_lfads: Implementation of LFADS with chainer 公式の実装が既にこちらにあるのでそれを参考にしました。二つのpython…

複雑な行動系列の学習は誤差逆伝播的に行われない

来週締め切りの国際会議に提出する論文の準備が忙しすぎて完全にBlogを放置していました。目論見としてはこちらに来てからの仕事のうち2つ(それぞれ人間と動物の実験データ解析)を出す予定でした。が、動物の方の結果がまだ微妙、かつそもそも規定上二重…

ChainerでNeural Processesを実装した

Neural Processes人間は新しい環境におかれた時、その環境を理解しようとがんばります。正確に全体を理解したい一方で、時間は有限なので、なるべく効率的に情報を収集して環境の予測を更新していくことも重要です。そうした情報収集をどのように、そしてい…

遺伝子は知的能力(知能)の個人差にほとんど関係しない

どういう論文かStudy of 300,486 individuals identifies 148 independent genetic loci influencing general cognitive function www.nature.comGenome-wide association meta-analysis in 269,867 individuals identifies new genetic and functional link…

自己回帰、Flowベースの深層生成モデルの今

内容 MADEの実装と並行して、特にFlowベースの手法について、様々なブログや論文で全体像や各手法の勉強をしたので、まとめておきます。 全体論 Google BrainのEric JangによるNormalizing Flow解説が極めて秀逸なので、まずこれを読んでから以下の概要・論…

ChainerでMADE: Masked Autoencoder for Distribution Estimation

Autoregressive/Flowベースのモデル深層生成モデル このブログでもよく紹介している深層生成モデル(Deep Generative Model)ですが、近年よく研究されている深層生成モデルにはGANベース、VAEベース、Autoregressiveベース、Flowベースのモデルがあります。…