オードリー・タンと天才と意識

最近、研究と関係ないエッセイ的な記事ばかり書いていますが、明らかにリアルでのコミュニケーション量が激減しているのが原因な気がします。本当はもっとカッチリしたフォーマットで、面白い論文やらを紹介した方がいいとは思うのですが。


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大学の警戒レベルが少し下がり、ようやく初(リアル)出勤しました。二年ぶりの本郷キャンパスでしたが、まだ学外の人は入校できず、学内関係者の出勤も制限されているのでキャンパス内はガラガラです。
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そんなわけで久しぶりの通勤中に、家だと開かないPodcastアプリを久しぶりに開くと、Rebuild.fmのゲストがなんとオードリー・タン。
rebuild.fm
彼女はコンピュータサイエンス業界の有名人で、Wikipedia記事(URL)を見ればわかるとおり、いわゆる天才。いまは台湾政府でデジタル担当の政務委員をしています。こういう規格外の人が、いかにも堅そうな行政に関わっているのはそれ自体興味深いことです。

Podcastの前半部分は台湾のコロナ対策についてで、それもまあ面白かったんですが、自分としては後半のキャリアについての話の方が刺さりました。極めて高いITの専門性を持つ人間が行政とどう関わっていくか、プログラミング教育をどう進めるべきか、などの話を世界でも数少ない実践者の口から聞けるのは貴重だと思います。


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ところでこのオードリーは14歳で中学を中退しています。自分は学問でも芸術でもスポーツでも、「天才」と言われている人のことを調べるのが昔から好きです。そんな天才オタク的には、この「中学を中退」という言葉には刺さる響きがあります。彼女が中学を中退した年齢で、自分は田舎の公立中学に普通に通学、しかも成績はギリギリでオール3に届かないぐらいというザ・平凡という感じの人間だったので、この彼我の差には眼がくらみます。

というか、自分の容赦ない凡庸さと向き合うために、天才の頭の中に興味があるのかも。経験上、蓋を開けてみるとそういうすごい人たちは結局、周囲よりも圧倒的に努力し続けている人でもあります。で、そういうのを見て知って、さらに憧憬が高まっていくことに。


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Podcast繋がりで、認知神経科学界隈でこのYoutube動画についての言及を偶然見かけて、作業中に垂れ流しで聴いてみました。
www.youtube.com
編集が入っていないのと司会者がいないのとで、Rebuildに比べてかなりとっ散らかった居酒屋談義です。なので意識の研究に関する知識がある人以外は面白くないと思うのですが、個人的には面白く聴けました。

確かにとっ散らかった居酒屋談義ではあるのですが、自分はこういうコンテンツがわりと好きです。

実際の人間の頭の中は、このYoutube動画みたいなとっ散らかっているものだと思います。もちろん、それをそのまま垂れ流されると情報の受け手的には非効率すぎるので、カッチリと整理した後の情報が本や論文という形で発表されています。それがまさに情報の吸収効率を最大限に高めるわけですが、一方で、こういう生の未整理な情報にそのまま触れるというのも、整理された後には消えてしまう何かが得られている気がします。仕事に活きそうな何かが。……というのは仕事に集中できずに動画を垂れ流している言い訳で、そんなの気のせい、仕事に直接活きるものなんて得られない、というのが実態でしょう。

せいぜい、自分以外にも似たような問題に興味がある人がいるんだなとか、こういう人はこういうことで悩んでるんだなみたいな共感とか、そういう類いの経験が得られるぐらいでしょうか。

いや、でも、それが一番重要なのかも。

もちろん、何にとって重要かはわからないし、裏付けもないけれど。