プロ将棋棋士の脳

時勢柄、気を抜くと無限にAbema TVを眺めてしまう日々です。将棋を最後に打ったのはおそらく小学生の頃ですが、棋士が好きでよくインタビューや実況解説を見ています(つまり観る将)。



さて、将棋の棋士に焦点を当てた自然科学の研究はどれぐらいあるのか。

shogi - Search Results - PubMed

自然科学の主要な雑誌はほぼ引っかかるPubMedで"shogi"というキーワードで検索してみると、ヒット数は25件と予想通り少ない。大半が日本からの研究です。しかも25件のうちいくつかは、Shogi氏による将棋とは全く関係ない研究。

これがチェスだと将棋の100倍、2000件超引っかかります。研究の動機が、先読みに関する脳活動やら、完全情報ゲームのプロとアマとの比較やらをしたいというものなら、わざわざ(世界的には)マイナーな将棋を使う必要がないのでこの状況は必然かと思います。




少ないながらも、将棋に関する有名な研究はいくつかあります。以下の二つは理研の田中先生の研究です。

science.sciencemag.org
www.nature.com

一つ目のScienceの研究はプロとアマの比較、二つ目のNature Neuroscienceの研究はプロ級の人に限定した研究ですが、特定のシチュエーション("次の一手"を考える時や、受け攻めどちらでいくかを決める時)でどのような脳部位が活動しているのかを明らかにしています。藤井伝説がまだ始まったばかりの頃(今もそうなのかもしれませんが)に発表されたものなので、今発表してたら国内の話題度は段違いだったかも。(ちなみに二つ目の研究に関しては自分のボスがコメントを書いてます:Divide and conquer: strategic decision areas | Nature Neuroscience




棋士にしろ芸術家にしろ、異才の脳を覗くというコンセプトにはロマンを感じます。一方で「脳のどこが関係してそう」というのがわかったところで、何か応用にすぐ活かせるかというとそうではなく、実際は物凄く遠い話。十年後ぐらいには、このギャップがもう少しは埋まっていればいいんですが。



ちなみに自分は藤井聡太(現棋聖)はもちろんですけど、自分は永瀬拓矢(現二冠)や佐々木勇気(現七段)も人間味があって好きです。もちろん彼らも天才なのですが「天才達が死ぬほど努力をして超天才に挑む」というシチュエーションが自分にとって鉄板なのかも。