毎日の研究情報収集はどうやってすればいいのか

いまだにどうすれば良いのかよくわからず、他の人がどうしているのかはいつも気になります。

どうしようもない出だしから始まりましたが、ちょうど尋ねられたので、日頃どんなふうにやっているか自分のやり方をまとめようかと思いました。広く網を張ってウォッチしつつ、気になったものは重要度に応じて深く読んでいく、という(多分標準的な)やり方をしているのでその順に書いてみます。

人・分野によってやり方や分量は違うと思いますが、少なくとも認知神経科学やシステム神経科学分野だったら以下の範囲の情報は周囲の人から入ってくることはよくありますので、そんなに外れてもないのかなと思いたいですが、どうかな…。

ウォッチのやり方

基本的にはFeedlyに論文誌とプレプリントサーバのRSSを登録して眺めています。自分の場合は以下を登録してました。順不同です。


一般系

  • Nature, Science, Cell, PNAS, Nature Communications, Science Advances

生命・神経・認知科学系

  • bioRxiv (Neuroscience), eLife, Plos biology, Current Biology, Cell Reports, Nature Neuroscience, Neuron, Nature Human Behavior, Nature Reviews Neuroscience, Plos computational biology, NeuroImage, Journal of Neuroscience, iScience, Cerebral Cortex, Trends in Cognitive Sciences, Trends in Neurosciences

メソッド系

  • arXiv (q-bio NC, cs.AI, stat.ML, cs.HC), Nature Biotechnology, Nature Methods, Journal of Artificial Intelligence Research, JMLR, Neural Networks, Neural Computation

医学系

  • NEJM, JAMA, Molecular Psychiatry, Biological Psychiatry

以下の学会には自分の研究と関連する研究が毎年出ているので、発表論文リストで自分の研究と関連するキーワードを検索します。特に機械学習寄りの研究に関しては論文誌よりも学会の方が重要な研究が多いです。

  • NeurIPS, ICML, ICLR, ACL, CCN

他にも、その時々で自分の論文に関係するキーワードをPubmedでRSS生成をして、それを登録しています。本当はScientific Reports, Plos one, Frontiers, eneuroあたりも一般紙/神経科学で入れたいのですが、関係しない論文数が多くて追いきれないためそちらはPubmedのRSSで引っかかることを期待してます。また、企業のリサーチblog(googleとかfacebookとか)や研究についてよく紹介してる個人blog(つまり自分のblogは対象外)も登録しています。上で拾いきれない(行動)経済学関係や、数物理論の海外有名研究者のブログが多めですが、理解できないことも多いです。例として、自分はとりあえずテレンスタオのブログを購読していますが、毎回ほぼ何もわからないためなんとなく賢い気分になった後にそっと閉じています。これは全部で数十個ぐらい。

RSS以外だと、論文についてよく呟くTwitterアカウントリストをジャンルごとに(Neuroscience, Machine Learning, Psychologyなど)作ってそれをHootsuite上で眺めています。最近はTwitter上でTweet stormなる自己論文紹介をするのが定番の流れになっているので、そういうTweetを特に見ています。暇な時に眺めようとつとめていますが、暇じゃない時の方が眺める時間が多いのが厳しいところです。これは50アカウントぐらいで、全て海外の研究者アカウントです。それと、心理学系の論文は加えるべきだと思いつつも加えられておりません。

読み方

たいした工夫はなくて、以下のような感じです。

  • 上で張った網に引っかかったタイトルだけをざっと読んでいく
  • 興味があるタイトルがあったらちらっと要約や冒頭を読む
  • ピンときたら実際に論文や記事に飛んで図を眺める
  • さらにピンときたらイントロダクションやディスカッションの冒頭、リザルトを少し眺める
  • 場合によってはこの段階でこれまで所属した研究室のslackの論文紹介チャンネルに投げてみる
  • きちんと読まなくちゃいけない感じだったらその場で、または後で読むリストに入れる(このまま読まれずに放置されること多数)
    • -

以上ですが、論文やグラントを書くとき、あるいは査読するときの情報収集はまた別になります。その場合はGoogle scholarとPubmedで検索したり、そこで出てきた論文の引用先/引用元を可能な限り辿っていきます。上では日常のルーチン的な情報収集を書いてみました。

ただ最後にひっくり返すようなことを書きますが、そもそもここに書いたような毎日の情報収集にどれだけ意味があるのか怪しい気がします。というか、何の目的でやっているのか改めて問われると即答できません。良いアウトプットのためには多様なインプットが重要だと正当化したい気はします。でも研究者としての仕事を進める上では、研究計画を立てるときや論文・グラントを書くとき/査読するときに、範囲を絞った情報収集を集中的かつ効率よくする力が重要だと思われます。

でも、ふと見つけて面白いと思った論文を身内のslackに張ったり、現実世界でワイワイ話をしている時は、日々の生活の中でもなかなかに面白い瞬間な気がします。単に日々の生活が暗すぎるだけという可能性は否定できませんが、論文やグラントを書いてる時に調べる作業は、自分の場合どうしても恐る恐るになってしまって素直に研究成果を楽しめないことも多いです。自分の理解が誤ってないか、実はすでにやられてたりしないか、、、などなど緊張してしまうのが原因?というわけで結論としては、上にあげたことはほぼ趣味というか息抜きに近いのかも。ここまで書いておいてひどい結論ですが。